霜小倉15/100
袈裟固め 猿のように出て 若なづむ
我が子諸手に 雪はふりつつ
/御香子天皇
現代語訳
袈裟固めの体位でやったら猿のように乱れて射精してしまったと若さゆえに悩んでしまう。
陰茎を両手で持っている。まだ精液が溢れてくる。
解説
語の解説から参りましょう。
【袈裟固め】は現代でも使いますね。
(袈裟固めです)
【猿のように出て】昔から猿は節操のない性欲のたとえとして使われています。
【若なづむ】なづむは「悩み苦しむ」や、「こだわる、気にする」といった意味です。若さゆえの悩みというのはありますよね。
【我が子諸手に】「我が子」というのは私の息子という意味です。文脈からここは「陰茎」のことでしょう。「諸手に」は両手に、ですね。
【雪】雪は白い。白いは…精液でしょう。
【はふりつつ】「はふる」の連用形に継続の接続詞「つつ」がついています。「はふる」とは「溢る」つまり「溢れる」です。溢れ続けている。
さて、「袈裟固めの体位で」とありますがどういうことでしょうか。
画像をご覧のとおり、これでは挿入はできません。それなのに猿のように「出て」しまった。
これはつまり、性交をする雰囲気に持っていこうと、女とじゃれているうちに射精してしまったと。えっ!?…と。節操というものがないのか私は、と。
元気なことは良いのですが、悩みます。若いのだから。
えっ、なにもしてないのに逝ってしまった。なんでなんで?嘘でしょう?と。
そうして息子を両手で持って状態を確認するわけですね。
もう一回戦、いけるか?と。
まだ出てくる出てくる。
熱いのがどんどん出てくる。
しかしここで作者はそんな熱い精液のことを冷たい雪にたとえています。
出れば出るほど気持ちが冷めていくわけです。なぜこのタイミングで射精してしまったのか、思索がはじまるともうだめです。若くても。
この出来事があってからでしょう。
御香子天皇は性交渉の際の前戯などを藤原腸に任せるようになります。
日本で最初の淡白な天皇でした。